王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】

通りがかりに横を見ると、漆鷲社長が華やかな女性社員に囲まれていた。

紳士的な笑顔で彼女たちを見下ろす社長。

ななめ後ろにはポーカーフェイスの敏腕秘書。

私は、自然と歩行のスピードが緩まって、意識がそっちに傾いていた。


「申し訳無いけど、時間がとれないんだ。仕事中ですから、戻ってください」

「ええ――!! そんなこといわないで下さいよぉ〜」

「一緒にいきましょう」


わざとらしい悲鳴と共に、ストライプスーツのしなやかな腕に、グラマーな女性が抱きつく姿が見えた。

確か、あれは美来ちゃんと同じくらい人気のある営業チームの高橋さん。

とっても華やかな茶色の巻き髪に、くっきりした目鼻立ちは⋯⋯社長と並んでてもお似合いだ。


やっぱり、ああいう綺麗な人が隣じゃないと⋯⋯

おかしいよね。


前を過ぎ去る瞬間、漆鷲社長とぱちっと視線が合った。

やばい、見てたと思われる!

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