王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】
「気遣っていただきすみません。ほんとに気にしなくて大丈夫なのに⋯⋯。」
「先輩からの好意は『ありがとう』って受け取るものよ。」
そう言いながら、松田主任はブラックコーヒーを片手に、私の座るカウンターに並んで腰を下ろした。
「今回はすごく助かったの。私あまりデーター入力得意じゃないし。真島に迷惑かけたうちのダメンズたちには、あとでお説教しておくわ。」
「いえいえ、先輩方可哀想ですから。」
小さく笑いながらコーヒーに口をつけると、湯気で眼鏡が曇る。
厳しいと言われている松田主任は、案外気さくで可愛らしい人だった。
逆三角形の小さな顔に切れ長の目元。
こんな可愛い人なのに、大きな声で容赦なく激をとばす姿には驚いたけど(私は怒られてない)
たまに見せる笑顔は、とってもチャーミングだった。
一言でまとめると、見た目も中身も美来ちゃんとは正反対のタイプと言ったほうが早いだろか。
これで二児のママだというから驚かされる。