王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】
主任はそんな私を見て、元気づけるかのように肩を叩いた。
「そんな顔しないの。噂には暗くて感じ悪いとか、話すのは仕事の話のみとか、全く笑わないとか聞くけど――⋯⋯」
いや、それ間違ってない⋯⋯。
「でも、今日過ごしてわかったけど、すごくいいやつ。仕事は早いし、丁寧だし、話は聞くし。気遣いもできて、自分の意見も言える。まぁ、あまり笑わないけど、わかりやすい表情してくるし。うちのグループに欲しくなったわ」
ぱん、と肩を叩いて松田主任の手が離れた。
じわじわと心が熱くなる。
そんな事、はじめて言われた。
レンズ越しに主任の顔を見つめたきり、感極まって、なかなか動くことが出来なかった。
当たり前のことをやって、当たり前に生きてきて、
この陰な風貌のせいで、どこか変な目で見られるのが普通だったけど。
ちゃんと見てくれる人もいるんだ。