王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】
二週間かけて完成させた最高の資料。
何度も何度も見直して、今回ばかりは一度も永斗さんに目を通してもらうことなく提出してしまった。
あれ以来会っていないからというのもあるけれど、一番の理由は、この期間で彼から色んなことを学び、それがひとつの自信となっていたから。
それまでの私だったら、不安の中にかすかな自信しかなかったけど。
でも、今は自然と思えるんだ。
大丈夫。できる。
「後で常務のところ持っていくねー」
「お願いたします」
一礼してくるりと踵をかえそうとしたら、
「そういえば」と、部長のまだ話したそうな声が聞こえて足を止めてふり返る。