王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】

「素敵な眼鏡だね。雰囲気がすごく明るくなって綺麗になったよ」

「え、あ⋯⋯。ありがとうございます」


予想していなかった褒め言葉に赤くなり、逃げるようにフロアを出てきてしまった。


う、嬉しいけど、恥ずかしい。


眼鏡が変ってから、色んな人から「雰囲気変わったね」「綺麗になったね」と友好的に声をかけられるようになった。

今まで話したことがなかった人も、眼鏡を通して話しかけられたり、挨拶を交わしたり、以前よりも私生活が華やかなものになった気がする。


眼鏡ひとつでこんなに変わるなんて知らなかった。

オシャレをすれば、私ももう少し変われるのかな。





昼休み前ごろ。

『顕微室』といわれるちいさな個別研究室で、部長に頼まれた原料の調査をしていると、噂を聞きつけた園部がやってきた。


「聞いたぞ! 真島!」

「いで」

「今朝、やっと提案出したんだってな! 今日までなのにギリギリだったな!」


挨拶代わりに頭をひっぱたかれて、顕微鏡に眼鏡ごとガツンとぶつけた。

くっ⋯⋯!!
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