王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】

「提出したけど、叩かないでよ」

「今年はだいぶ焦らしたんじゃねぇの? 自信なくて煮詰めてたとか?」


近くにあった椅子に腰を落ち着ける彼は、全く人の話しを聞いていない。

キズ確認を終えた眼鏡を目元に戻し、言いたい文句を飲み込み、それから挑戦的に私を見据える園部を負けじと見あげた。


「自信あるよ。今年は、負けるつもりもないよ。提出はギリギリになっちゃったけど、今までで一番自信あるから。」

「へぇ―⋯⋯なら賭けでもするか?」

「賭け?」


訝しげに聞き返した私に、園部は怪しい笑顔を浮かべ、椅子と顔を寄せてくる。


「お前が授賞したら、本橋屋の甘味たらふく買ってやる」


低い声でささやく。

ぴくり。


「やる!」


大好物に思わず飛びつくと、唇が片方だけ持ち上がり
< 309 / 489 >

この作品をシェア

pagetop