王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】
「提出したけど、叩かないでよ」
「今年はだいぶ焦らしたんじゃねぇの? 自信なくて煮詰めてたとか?」
近くにあった椅子に腰を落ち着ける彼は、全く人の話しを聞いていない。
キズ確認を終えた眼鏡を目元に戻し、言いたい文句を飲み込み、それから挑戦的に私を見据える園部を負けじと見あげた。
「自信あるよ。今年は、負けるつもりもないよ。提出はギリギリになっちゃったけど、今までで一番自信あるから。」
「へぇ―⋯⋯なら賭けでもするか?」
「賭け?」
訝しげに聞き返した私に、園部は怪しい笑顔を浮かべ、椅子と顔を寄せてくる。
「お前が授賞したら、本橋屋の甘味たらふく買ってやる」
低い声でささやく。
ぴくり。
「やる!」
大好物に思わず飛びつくと、唇が片方だけ持ち上がり