王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】
一体なにを考えてるの?
そもそも、園部は私がこの眼鏡に変えてから毎日不機嫌そうな顔をしている。
初日の朝に挨拶を交わしたときは
『おお! 垢抜けたな』
なんてからかってきたのに。
デスクで作業してたら、じりじりと横から覗き込んできて
『それ⋯⋯もらいもんだろ?』
ものすごく深刻な顔していった。
不穏な空気を感じつつも、永斗さんとのことを言えるわけもなく
『友達が壊しちゃったからって、プレゼントしてくれて』
『へぇ―⋯⋯友達な』
この二週間、これで逃げているけどあの瞬間から、やたらコレを気にしてる。
このハートマークって⋯⋯なにかあるのかな。
もしかして、似合ってないって言いたいとか?
私はそっと、側面についているその場所に指先で触れた。
「せんぱぁ〜い。お昼いきましょぉ〜!」
「あ、今行く」
二人分のお弁当箱を手にした美久ちゃんが、扉から顔を覗かせた。