王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】

一体なにを考えてるの?

そもそも、園部は私がこの眼鏡に変えてから毎日不機嫌そうな顔をしている。

初日の朝に挨拶を交わしたときは

『おお! 垢抜けたな』

なんてからかってきたのに。

デスクで作業してたら、じりじりと横から覗き込んできて

『それ⋯⋯もらいもんだろ?』

ものすごく深刻な顔していった。

不穏な空気を感じつつも、永斗さんとのことを言えるわけもなく


『友達が壊しちゃったからって、プレゼントしてくれて』

『へぇ―⋯⋯友達な』


この二週間、これで逃げているけどあの瞬間から、やたらコレを気にしてる。


このハートマークって⋯⋯なにかあるのかな。

もしかして、似合ってないって言いたいとか?


私はそっと、側面についているその場所に指先で触れた。


「せんぱぁ〜い。お昼いきましょぉ〜!」

「あ、今行く」


二人分のお弁当箱を手にした美久ちゃんが、扉から顔を覗かせた。

< 311 / 489 >

この作品をシェア

pagetop