王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】
応接ソファ座ったじーさんは、僕がてきとーに淹れた緑茶をすすった。
近くに寄ったついでに働きぶりを見に来たと言っていたが、抱えている数冊の黒いアルバムは見なくてもわかるもの。
嫌な予感は的中だな。
島田⋯⋯まだ来ないのか。
僕がテーブルを挟んだ対面に腰をかけたところで、じーさんはそれらをスッと目の前に並べた。
「――そろそろ3ヶ月だぞ、永斗」
白い髭を撫でながら、楽しそうにこちらを見上げる意地悪そうな顔。
開かれた3冊のアルバムには、着物を着たそれぞれの見目麗しい女性たち。
⋯⋯いや、麗しくも思えない。
正直見たくもない。
思わず大きなため息がこぼれる。