王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】
「心配する必要はないって言ったよね」
「こっちも心配いらない。縁談にはお前が気に入りそうな娘を用意しておいた」
「じゃなくてさ⋯⋯」
「⋯⋯進展あったのか?」
思いっきり意外そうな顔をされた。
だからそう言ってるだろう。
そろそろ来るから、この際、紹介してしまうか。
その方がじーさんも喜ぶだろうし。
「そうだよ。彼女に⋯⋯真島さんにもう一度結婚を申し込みたいと思う」
「ましま⋯⋯?」
じーさんは宙を見ながら、長い足を組む。
ひげを撫でながら思案げな顔。
なんだ⋯⋯?
「知ってるの?」
「⋯⋯どこかで名前を見た記憶が⋯⋯確かさっき⋯⋯」
名前を⋯⋯見た?
何十万人もの社員を抱えている祖父が、社員の名前を覚えてるなんてことは珍しい。