王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】
そんなとき、ゆっくりと扉が開く。
「失礼します」
現れたのは島田。
なにやら荷物が多いようで、ドアの開閉に手こずっている。
「大丈夫?」
重そうな黒い手提げを受け取り、ドアを押さえて迎え入れたところで、ハッとした。
「⋯⋯これ」
「真島さんからです。今、ドアの前で会ったのですが、急用が出来たとそのファイルと和菓子を受け取りました」
黒い手提げの中には、僕の過去の商品開発のファイル。
僕は妙な胸騒ぎがした。
「急用⋯⋯?」