王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】


―――――――




しかし―⋯⋯

――結局、彼女には追いつかなかった。


ビルを出て、バス停までの道のりを見渡したが、来美の影はない。

慌てぶりに驚く退勤する社員や警備員、僕を見てキャッキャ騒ぐ女子社員たち。

それだけ。


行ってしまった⋯⋯か。


じーさんのタイミングの悪さを恨みながら、社長室へと戻り、島田の運転する車で打ち合わせ先の料理店へと向かった。


本当についてない。

どうにか話しをしたいが、とりあえず目の前の仕事をやってしまわねば。
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