王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】
そんなモヤモヤの中、2時間ほど長引いた打ち合わせがようやく終えた。
時刻は11時を過ぎていたが、もう迷っていられなかった。
「⋯⋯悪い、島田。来美のうち寄って。顔だけ見ていく」
気づけばそう口にしていた。
時刻は11時。
打ち合わせが長引いたとはいえ、そんな事情を知らない彼女の家にいきなり押しかけるのはマナー違反。
そんなのは分かっているが⋯⋯
彼女が傷ついてひとりで泣いていたら⋯⋯
それを考えるだけで胸が削がれる想いだった。
何事も無いケロっとした顔を見れれば、それはただの杞憂だということで僕も安心だ。
ひとりで泣かせるなら、迷惑がられたほうがまし
そんな思いだった。
しかし、車が来美の住むアパートの前に到着した途端に、僕の顔は真っ青になった。
彼女の部屋の電気はついておらず
真っ暗だった―――。