王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】
『ああ、それは構わないよ。それで――』
『あ、あ、そういえば、和菓子―――』
ん?
いつもなら会話を遮るようなことはしない来美。
まるで深い会話を避けるようにも見える彼女に疑問を覚えた。
そして、そのまま手土産の本橋屋の和菓子について、立て続けに言葉を繰り出し、
よし、言うぞ! 切りだそうとしたところ⋯⋯電話は終えてしまった。
わずか30秒ほど。
さっきまでの心配は、ただの杞憂だったのかそうでないのかも分からず。
そして、隣には誰かがいるような気配があった。
少し⋯⋯いや、ものすごく気になったが、彼女が必死にごまかそうとしているところ、聞くこともはばかられ、おとなしく就寝の挨拶をして終えた。
会ったときに聞けばいいそう思って。