王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】
「――⋯」
誤解されているもしれない状況と、電話口で来美の様子と、隣にいた誰かの気配。
それを踏まえれば、背筋が凍りつく。
授賞式は、祖父との約束の日でもあり。
来美から『返事』をもらう日としても、宣言してある。
『やっぱり永斗さんは縁談をうけてください』
大いに言いそうだ。
『あんなに求められたら身体がもちません』
⋯⋯これもあり得るな。
でも仕方ない、こんなに良いのははじめてで⋯⋯。
っていや、僕はこんなときに何を言っている!
あぁ。
夕方から大切な授賞者決定の会議があるというのに、頭が痛くなる。
だめだ、仕事にならなくなる。
悪い方には、考えないようにしよう。
気を引き締めて、仕事にあたった。