王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】

「――⋯」


誤解されているもしれない状況と、電話口で来美の様子と、隣にいた誰かの気配。

それを踏まえれば、背筋が凍りつく。

授賞式は、祖父との約束の日でもあり。

来美から『返事』をもらう日としても、宣言してある。


『やっぱり永斗さんは縁談をうけてください』


大いに言いそうだ。


『あんなに求められたら身体がもちません』


⋯⋯これもあり得るな。

でも仕方ない、こんなに良いのははじめてで⋯⋯。

っていや、僕はこんなときに何を言っている!

あぁ。

夕方から大切な授賞者決定の会議があるというのに、頭が痛くなる。

だめだ、仕事にならなくなる。

悪い方には、考えないようにしよう。


気を引き締めて、仕事にあたった。


< 332 / 489 >

この作品をシェア

pagetop