王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】

そして、全て打ち明けたうえで、私が美久ちゃんに求めた協力は


『オシャレして授賞式にいきたい』


至ってシンプルだった気がするんだけど―――


「ふむふむ⋯⋯真島先輩を可愛くするぅ⋯⋯つまりプロデュース。ってことですねぇ?」

「―――」


少しずつ話しが違った方向に進んでいるんだよね。

あいにく、プロデュースがなんなのかはわからない。

けど、オシャレに疎い私が、頑張っても授賞式に綺麗に着飾ることなんて不可能なんだ。

これには美久ちゃんの助けが必要だ。


なにせ、あの場で永斗さんに『縁談』をもちかけていたのはおそらく、漆鷲家の中でも力を持つ人だと思う。

そして、彼が『3ヶ月』と言っていたのもそれと関係しているのかもしれない。

でもどんな理由であれど、

一つだけ言えるのは、この期間で永斗さんが私にくれた愛情は確かなものだってこと。

永斗さんが今後をどう考えていようと、それだけは疑わない。

だから私は、永斗さんが選んでも恥じないくらいとびっきり素敵な女性になり

当初、永斗さんが“期限”と設定していた授賞式の日に、これからも一緒にいたいことを伝えたい。

そんな思いで退勤途中の美久ちゃんを捕まえて、咄嗟にお願いをした。
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