王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】
挨拶を終えて、三十三階へと向かおうとしたとき、頬を染めた女性社員たちが寄ってきた。
「社長、お疲れ様です」
「挨拶素敵でした」
「たまにフロアに顔出して下さいね」
など、口々に褒め言葉を口にしながら、わらわらと押し寄せる。
あっと言う間に囲まれて道が無くなると、思わず、僕の顔は引きつりそうになった。
「ありがとう。次に行くから失礼するよ」
愛想笑い浮かべながら、やんわりと断りを入れると、ゆっくりと道が開けたのですかさず足を向けた。
母は、欧州出身の、スーパーモデル。
その血を濃く受け継いだ僕は、ひと目を引く容姿なのは理解している。