王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】
だが、実際のところあまり騒がれるのは好きではない。
物腰が柔らかくて、優雅な王子様。
なんて勘違いしてる女性も多いみたいだが、漆鷲の名を汚さないようにそうしているだけで、そんなデキた男ではない。
過去の恋愛からしても、最初は容姿と柔らかな姿勢に寄ってくるものの、恋愛を重視しない淡白な部分を見て、離れていく女性は多かった。
「愛されてる気がしない」
「王子様みたいな顔してるくせに」
そうは言われても、そのときの僕はそれが精一杯の愛情だった。
それが面倒になった僕は、しだいに多忙という理由をつけて、恋愛から遠ざかった生活を送っていた。
別に恋愛なんて、しようとも考えていなかった。
このときまでは。