王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】
「⋯⋯あそこにいる女性は?」
小声でつぶやくと、スッととなりにやってきた島田が真っ黒な手帳を懐から取り出す。
「商品開発チーム。真島来美、歳は29歳の現在入社して7年目。あの容姿の影響から、陰で『真面眼鏡』と呼ばれています。真面目と眼鏡が掛け合わされた、ただの悪口です。」
「⋯⋯君には恐れ入るよ」
自分から聞いたが、引いた。
初日なのにも関わらず情報量の多すぎだ。
「今日までに社員の情報は、ある程度記憶してます。ちなみに笑顔はレアなようです」
僕が軽く相槌を打つと、不敵な笑みを浮かべた島田は、手帳を閉じて斜め後ろへと戻っていく。