王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】

たびたび襲われていた

「永斗さんが他の誰かと結婚してしまったらどうしよう」

という恐怖。

これまで、美久ちゃんの明るさのおかげで、あまり考えずにいられたけど。

いざ、こうして目の前にすると、どれだけ永斗さんのことが好きなのかを思い知り、息ができないくらいに胸が痛む。

そして、ここで永斗さんに「ごめん」て言われたら、私たちはそれで終わってしまうんだ。


どうしよう。

返事を聞くのが怖くなってきた。


そう感じてしまった瞬間――

ポロリと、手の甲に涙が落ちてきた。


ああ、最悪。

泣きたくなんかないのに。


そんな私を目にした永斗さんは、勢いよく腰を浮かせた。


「来美⋯⋯ちょっと待っ――」

「――大丈夫なので、このまま聞いて下さい」


先に話しを聞くのが怖くなった私は、立ち上がろうとした永斗さんを手で制し、言葉を遮ってしまった。

そしてそのまま続ける。
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