王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】
「勝手に話しを聞いてしまったのは、すみません。
でも、その話しを聞いたときは、正直、仕方ないなとも思いました。今でも大きな力を持つ漆鷲家であれば、縁談やお見合いが舞い込むのも当たり前だし、永斗さんがそれを強要されることだってあり得るだろうって。
でも⋯⋯私は。
これからも永斗さんからいろんな事を学びたいし、一緒に笑い合いたいし、傷ついたときは私が支えたいです」
はち切れそうに見開く碧い瞳。
それをしっかり見つめるために、私は次々あふれてくる涙を拭い、顔をあげてさらに続けた。
「大好きですから。私は永斗さんが大好きで、ずっと一緒にいてほしくて。⋯あなたのかわりはいないと思ってます。
だから⋯⋯っ。
えんだんうけないで、わ、わたしと、いっしょに⋯⋯いてくれませんか?」
ポロポロあふれる涙を腕で拭って、漏れそうな嗚咽を飲み込むために唇をギューと噛み締めた。
それからスカートの裾を握りしめ、祈るように頭を下げた。