王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】

誰がどう見てもとってもカッコ悪い。


最後の方は自分でも何を言ってるのかわからなかったし。


せっかく化粧したのに、きっとドロドロに溶けているし。


おまけにお気に入りのワンピースは、涙のシミだらけ。


でも、それでいい。


そんなかっこ悪いところがあってこその、本当の私だし、本当の気持ちなんだから。


どこにも行かないで欲しい。


他の人を愛さないで欲しい。


頑張って素敵な女性になるから、私のとなりにいて欲しい。


他には何も求めないから。



「――くるみ⋯⋯」


祈るようにスカートを握る拳をひたすら見ていたら、グレンチェックのスラックスが横でとまる。

その優しげな声導かれて、ぐしゃぐしゃの顔をおそるおそるあげると
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