王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】
15章 真実と二度目とエンゲージと
15章 真実と二度目とエンゲージと




そして、30分ほど経過した頃。



「つまり――

⋯⋯3ヶ月は私との距離を縮める期間で、縁談はそれがかなわなかった場合にするように、会長に言われていたんですね」


メインルームのコの字型のソファへ移動した私たちは、ひとまずお酒をお休みし、熱いコーヒーを口にしながら行き違っていた部分を擦り合わせていた。


「そういうこと」


長い足を組んだ永斗さんは、ソファに寄りかかり満足そうにカップに唇を寄せる。

ようやく不安視していた事が解消され、ホッと息をついたものの


全ては、私の早とちりの勘違いの大暴走だったなんて⋯⋯!

うう⋯⋯恥ずかしすぎる。



「来美、可愛かったな」


思い返しては、そんなことばかりつぶやく永斗さんは終始ニコニコと、機嫌が良さそう。


「もう、恥ずかしいですから」

「だって、僕を引き止めるために、あんな必死になってくれるとは思わなかったから」

「⋯⋯そうも、なりますよ」


カップを手にしたまま、満面の笑みを浮かべる彼を恨めしく見上げる。

穴があったら入りたい状況なのに。

綺麗な指先が、甘やかすようにゆっくりと髪を撫でてゆくから、ついつい顔が緩む。
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