王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】
「⋯⋯その説は、すみません⋯⋯」
肩をすくめて小さくなっていると
「――いや、謝るのはわしの方だ」
会話の流れを断ち切るように会長がはっきりと口にした。
そして、カジュアルスーツの襟元を正しながら改まったように私を見て姿勢をただす。
「君たちのことを知らずに、『縁談』の話しを持ちかけて不愉快な思いをさせてしまった⋯⋯。あれは永斗さんの話しを少しも聞かなかったわしのせいだ」
「お気になさらないでください。ちゃんと二人で話し合う機会にもなりましたので」
私はゆるく首を振りながらなだめる。
「いや⋯⋯わしも永斗に血縁、血縁と迫ってしまったことは反省はしていたんだ。しかし、永斗の将来も心配で、引き下がれなくてなぁ⋯⋯」
それは、ただひたすら孫を思う祖父の顔だった。