王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】

「永斗が好きになった女性が、君のような心優しい女性で良かった。ありがとう」

「そんなこと⋯⋯」


手を顔の前でブンブン降った。

あまりにも買いかぶりすぎだ。

私は地味で冴えないけど、そんじょそこらにいる普通の女性だし。

永斗さんが、なんで私を好きになったのかわからないくらいだし。


私がそんなことを連ねていると、会長は穏やかな口調で続ける。


「何もしていない、と言える君のそういう奥ゆかしいところが響いたんだろう。永斗は私たちにはあぁだが、意外とつれない男だ。
甘やかされて育った分、少し甘ったれてるところもあるやつでな。

だが――⋯⋯」


会長は私に向かって深く頭をさげた。


「どうか、よろしく頼む」


え⋯⋯ちょっと


「会長、頭をあげてくだ――⋯」


思わず椅子から立ち上がると、島田さんの腕が制するように身体の前に伸びてきた。


え⋯⋯


口を閉ざして、そのまま島田さんを見ると


セルフレームの奥の瞳を少しだけ優しく細めながら、彼はゆっくり首を横に降る。


『止めなくていい』と




⋯⋯一瞬迷ったけど。


そうか。

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