王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】
自然と足を止めると
「――ごまかしじゃなかったらどうする?」
腕をやんわり掴んだまま、唐突に永斗さんは言った。
一瞬なんのことだろうと考えたけど、すぐさまご両親との話しであることに考えが行き着く。
『僕が好きだったから、なんとか知り合えるように仕組んだんだ』
本当に仕組んだということが言いたいのか?
ただの、『もしも』の話しなのか。
黙って私を見あげる永斗さん。
その無表情はなにを思っているのかは全然読めない。
でも、なにがどうであれ
彼が彼であることには変わりないし
今、私たちは信頼関係の上に成り立っている。
腕を掴んでいた手と、膝においてあった彼の手を握って、彼の足元にしゃがみ込む。