王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】




「――ねぇ、来美? 怒ってる?」

「⋯⋯怒ってはいません」


ベッドの中に潜り込んだ私に、永斗さんは何度も呼びかける。

こんもりしたてっぺんをポンポンと撫でながら。


ご機嫌を伺うような甘い声に、すぐさま顔を出したくなるけど、今は我慢だ。


とはいえ、私も怒ってるわけではない。


怒ってる、というよりは恥ずかしい!


こともあろうが、あの島田さんが私のロッカーを開けたなんて⋯⋯!


思わず発狂しそうになりここに潜り込んだのだ。


鍵付きロッカーだから甘く考えて、着換えや下着だって置いていたし。


あまり⋯⋯整理整頓は得意な方ではないからものすごく汚い。(料理もできないけど)


そんなところを、島田さんが私のロッカーを開けるなんて誰が予測できるだろう。


「更衣室のロッカーを開けたのは謝るから、そろそろ顔見せてくれないかな⋯⋯」

「――――」


媚びるような声に、ものすごく心が揺らぐ。


「さっきは、奇跡だとか、嫌なわけないとか言ってくれたのにな⋯⋯」


うっ⋯⋯

耳がいたい!

それを持ち出されたら⋯⋯

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