王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】
「永斗さん、もっとキス⋯⋯したい」
消え入りそうな声で訴えると、鼻先がふれあいそうな距離で永斗さんはとっても艷やかに微笑み
「キスだけでいいの?」
怪しげなセリフを耳元に声を注ぎ込む。
そんなの聞くなんてずるい。
まだ声だけなのに
電流が走ったかのように全身が反応する。
私からの返事を催促するように、先ほどと同じ場所に、もどかしいくらいソフトなキスを落としていく。
瞼に、頬に、唇は飛ばして反対側の頬に。
本当にいじわる
でも、本当に大好き
もう永斗さんしか見えなくなる⋯⋯
「キスだけじゃ、やです⋯⋯」
「僕も、いやだ」
再び消え入りそうな声で懇願すると、満足そうに瞳を緩めた永斗さんは部屋の照明を落として、私の上に重なった。