王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】

「もしかして、美久ちゃんも帰ったの?早いね。」

「イケメン社長の出待ちだと。
秘書課から定時退勤の情報をゲットとしたとか言って、すっ飛んでいったぞ。」


興味なさそうに園部がボールペンをクルクル回しながら言う。


「あぁ⋯⋯なるほど」


うちの社長は、ほんと恐るべしだ。

美久ちゃんが夢中になっている社長とは、三ヶ月前にヨーロッパの支社からやってきた前社長の息子、漆鷲永斗 (ウルワシ エイト) 社長のこと。

王子様のような金髪碧眼の甘いルックスと、旧漆鷲財閥という華麗なる家柄の御曹司。

就任前から、次世代の経営者特集などで取り上げられていたのを見て、女子社員たちが大騒ぎしていた。

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