具現化アプリ
彼氏役として桜翔太くんを出現させたのは自分だけれど、突然手をつなぐのは勇気がいりすぎる。


どうすればいいのかわからなくて戸惑っていると、桜翔太くんからあたしの手を握り締めてきたのだ。


一瞬、心臓が止まったかと思った。


「ほら、約束時間までもう少ししかない。急がないと」


そう言うと桜翔太くんは走りだす。


その手はずっと繋がれていたのだった。
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