具現化アプリ
10人ほどでプールへ向かったが、まだ使用前なのでどこも鍵がかけられていた。


「これじゃ中に入れないじゃん」


クラスメートが残念そうな声で言う。


でも、フェンス越しにプールの様子を確認することは可能だった。


今朝ここへきたとき、あたしはフェンスを乗り越えてプールに入ったのだ。


あたしはオモチャのブレスレッドを取り出してプールへ向けて手を掲げる。


集中しているように見せかけ、ジッとプールを見つめた。


その瞬間、なにもないプールの水面が波打ったのだ。


「ほら、あそこ!」


波打った水面を指差すと、クラスメートたちは悲鳴を上げ始めた。


水面の奥には黒い人影がうごめいていて、波は大きくなっていく。


「ちょっと、不審者が入りこんでるとかじゃないよね?」


誰かが不安な声をあげた次の瞬間だった。


バシャッと水しぶきが上がって、青白い顔をした男の子がプールから顔を出したのだ。
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