具現化アプリ
後は職員室を出て、近くのホームセンターで合鍵を作り、本物の鍵を返しに来ればいいだけだ。


そう思い、一歩足を踏み出した。


「飯田」


「は、はい!」


途端に先生に名前を呼ばれて、声が裏返ってしまった。


心臓がバカみたいに早鐘を打ち始める。


まさかバレた?


どうして?


背中に冷や汗が流れていく。


「プリント回収を忘れないように、今日の日直に伝えておいてくれ」


先生の言葉にあたしは全身の力が抜けて行った。


「はい。伝えておきます」


あたしはそう言い、職員室を出たのだった。
< 167 / 206 >

この作品をシェア

pagetop