具現化アプリ
☆☆☆

それからの作業は順調だった。


合鍵を作製し、何食わぬ顔でカギを職員室へ返しに行く。


一度家に戻ったあたしは日が暮れるのを待って、こっそりと家を出た。


コウダイくんとの約束時間まであと20分ある。


その間に誰もいない学校へ向かい、合鍵で体育館を開けて中に幽霊を出現させるのだ。


《コウダイ:もうすぐだな! ワクワクしてきた!》


学校に到着して正門を乗り越えたところで、コウダイくんからそんなメッセージが届いた。


その文面にクスッと笑う。


あたし自身、こんな風に夜の学校に忍び込んだことが初めてなのでドキドキしている。


体育館に到着して鍵を開けると、中は異様な静けさに包まれていた。


誰もいないから、自分の足音だけがやけに大きく響渡った。


バスケットゴールの近くに男の子幽霊を出現させ、足早に外へ出る。


出現時間は1時間に設定しておいたから、翌朝誰かが体育館へ来ても幽霊を見ることはない。


体育館から出ると再び校門へと向かい、門の外へ出た。


コウダイくんとの待ち合わせ場所はここだった。


時間を確認するとあと5分ほどだ。
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