具現化アプリ
少し待っていると自転車のライトが近付いてきて、あたしの目の前で止まった。


「遅くなってごめん」


そう言うコウダイくんは興奮したように目を輝かせている。


「全然待ってないよ」


答えてブレスレッドを取り出した。


「それが幽霊を見るときに必要な道具?」


「うん。今日は強い念を感じるから、きっと見ることができるよ」


あたしはブレスレッドをはめた手を校舎へ向けてそう答えた。


「すっげー! まじで本物じゃん!」


「ちょっと、声が大きいよ」


さすがに、こんな時間に大騒ぎをしていたら、近隣住民が出てきてしまう。


「ごめんごめん。ところでさ、ミキコちゃんはこれで学校の七不思議全部見ることになるんだろ?」


コウダイくんがフェンスを乗り越えながら聞く。
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