具現化アプリ
「でも、階段の上部は黒い闇に包まれていて、見えないでしょう? きっと、そこから先がわからなかったからだと思う」


ミキコがアプリにアップロードした写真が途中で途切れていたりすれば、こういう現象が起こるのではないかと考えていた。


「へぇ、面白いな。13階段で上部が暗闇だと、すごく雰囲気もあるし」


コウダイは目を輝かせて写真を見つめている。


あたしは麦茶を一口飲んで身を乗り出した。


「実はこの後、もっとすごいことが起きたんだよ」


「すごいこと?」


コウダイの目がさらに輝く。


「ミキコは階段を消滅させる時間を設定して出現させていたの」


「あぁ。アプリでそういう設定もできるんだっけ?」


「そう。それから、この階段にいるのは同じクラスの吉田さんっていう子」


「まじめそうな子だな」


その意見にあたしは顔をしかめた。


吉田さんはマナミたちのグループに入り、ミキコイジメに加担していた。
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