具現化アプリ
「え、そうなの!? 昨日はなにもなかったんじゃないの?」


「あまりに嫌な雰囲気だったから、黙ってたの」


「そうだったんだ。じゃあやっぱり吉田さんは連れていかれちゃったのかな……」


「そうかもしれない」


あたしはチラチラとノドカの反応を気にしながら頷く。


ノドカは目をパチクリさせてあたしを見ている。


「もしかして、今日もなにか感じるとか?」


「今日は特に……」


昨日のことがあったから、幽霊を出現させる準備だってしてこなかった。


「あたし、ひとつ気になる噂聞いちゃったんだ」


クラスメートがさらに話を掘り下げる。


「噂?」


ノドカが聞き返した。


「うん。この学校は昔処刑場だったっていう噂! 校庭の隅に首だけの男が現れるだって!」


「それならあたしも聞いたことある! この学校の七不思議のひとつだよね」


ノドカが興味津々と言った様子で食いついた。


「ねぇミキコ。その霊が本当にいるのかどうか、確認できないの?」


クラスメートにそう言われ、あたしはノドカへ視線を向けた。


ノドカはウインクをしてくる。
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