こぼれ落ちていく

─ガラッ─

相談室の扉が開いた。
そこには母が立っていた。

私の横に座り私の手を握り
母は尋ねた。


『あんな男のどこがいいの?』

わかんない……。
答えられない。


『本当に退学でいいの?』

握りしめられた私の拳に
母の涙がこぼれ落ちてくる。


『ごめんなさい。』

私も、知らない間に涙がこぼれてきた。



私ってこんなに泣く女だったけ?




母の手は私から離れ

鞄から茶色い封筒を取り出した。










─退学届け─
< 98 / 226 >

この作品をシェア

pagetop