クールな社長の不埒な娶とり宣言~夫婦の契りを交わしたい~

 彼女たちが彼をうっとりと見つめるのも当然のことだと思う。

 ――宗一郎。もう眼鏡はかけないの?
 視力が弱いわけじゃなかった彼のメガネは伊達メガネだった。多分、鎧のような物だったのだろうと思う。

 キスをする時だけ、彼はメガネを外した。
 睫毛が長くて、どこか憂いを帯びたような宗一郎の甘い瞳は、紫織だけのものだった。

『紫織、好きだよ』

 ――宗一郎。
    宗一郎……。

 神さまお願い。
 どうか、乗り越えさせてください。

 彼が言ったように。
 彼の幸せを心から思える自分になりたい。
 どうか、静かな気持ちで、彼の幸せを願える自分になれますように。
お願いです。

 紫織はそう願いながら、潤んでいた瞳で、いつまでもキラキラと輝く結晶を見つめていた。
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