クールな社長の不埒な娶とり宣言~夫婦の契りを交わしたい~
週明けの月曜日、夜八時過ぎ。
許可がない限り残業は出来ないことになっている社内は、人影もまばらだった。
ポツリポツリとスポットライトのように照らされた照明の下に、紫織の上司である室井がいる。
「お疲れさまです」
ふらりと顔を見せたのは鏡原社長だった。
彼は社員たちが無理をしていないか、常に気にかけている。
大学卒業後、彼が入社した会社は結構なブラック企業で、残業はして当たり前、体を壊して一人前というくらいの酷い環境だった。
倒れてゆく同僚たちを見ながら起業を決意したこともあってか、決して仕事量が本人のキャパシティを超えることがないよう気を配ることに余念がない。
自分のことには無頓着であるのに、社員の健康を心配するのは自分の責任であると思っているらしい。
入社間もない室井のことは特に気になるのか、残業していると必ずと言っていいほど声をかけられた。
「お疲れさまです。社長ちょうどよかった。T社の見積もりのことでちょっと相談があったんですよ」
ちらりと紫織の席を見た彼は、紫織の席から椅子を引き、そこに座る。
それは別に特別なことではない。人の少ないこの時間。話が長くなりそうな時はそんな風に近くの椅子に座るのは、彼に限らずごく普通のことだ。
仕事の話をひと通りしたところで立ち上がった彼は、椅子を戻しながら紫織のデスクの上に目を落とした。
そして何かをジッと見つめて手に取った。
「ああ、それは」
室井が思わず苦笑する。
許可がない限り残業は出来ないことになっている社内は、人影もまばらだった。
ポツリポツリとスポットライトのように照らされた照明の下に、紫織の上司である室井がいる。
「お疲れさまです」
ふらりと顔を見せたのは鏡原社長だった。
彼は社員たちが無理をしていないか、常に気にかけている。
大学卒業後、彼が入社した会社は結構なブラック企業で、残業はして当たり前、体を壊して一人前というくらいの酷い環境だった。
倒れてゆく同僚たちを見ながら起業を決意したこともあってか、決して仕事量が本人のキャパシティを超えることがないよう気を配ることに余念がない。
自分のことには無頓着であるのに、社員の健康を心配するのは自分の責任であると思っているらしい。
入社間もない室井のことは特に気になるのか、残業していると必ずと言っていいほど声をかけられた。
「お疲れさまです。社長ちょうどよかった。T社の見積もりのことでちょっと相談があったんですよ」
ちらりと紫織の席を見た彼は、紫織の席から椅子を引き、そこに座る。
それは別に特別なことではない。人の少ないこの時間。話が長くなりそうな時はそんな風に近くの椅子に座るのは、彼に限らずごく普通のことだ。
仕事の話をひと通りしたところで立ち上がった彼は、椅子を戻しながら紫織のデスクの上に目を落とした。
そして何かをジッと見つめて手に取った。
「ああ、それは」
室井が思わず苦笑する。