クールな社長の不埒な娶とり宣言~夫婦の契りを交わしたい~
名前を呼ばれたことに、ハッとして視線をあげた。
なぜ、名前を呼ぶのか。
すると彼は重ねて「何か言いたいこととか、聞きたいことは?」と言う。
「なにもありません」
「紫織……」
溜まりかねたように紫織は立ち上がった。
「本当にすいませんでした。失礼します」
「いいから座って、まだ話は終わってない」
「もうやめてっ! お願いだから。これ以上私をみじめにしないでくださいっ!」
「紫織?」
「社長が言ったように、私は落ちぶれました。だけど今まで自分をみじめだと思ったことは一度もなかった。私はあなたにひどい事をしたかもしれないけど、でも、だからって、これ以上私を惨めにさせる権利は社長にだってないはずですっ!」
「――ちょ… ちょっと待っ」
バンッ
思い切りドアを閉めた紫織は、涙を拭うことも忘れてエレベーターに走って行った。
「……え?」
光琉の席は社長室と副社長室と繋がる部屋にある。
突然飛び出してきた紫織に驚いてパソコンから顔をあげた光琉は、驚いたまま紫織を視線で追ったが、紫織がエレベーターの中に消えると、今度は閉じられたままの社長室の扉をパチパチと瞬きをしながら見つめた。
「……あれ?」
社長室の中の会話は聞こえなかったので、なにがあったのかも想像もできなかった。
そして、社長室の中では。
宗一郎が額に手をあてたまま、ガックリとうな垂れていた。
茫然としたまま、しばらくそのままでいたが、深いため息をついて、やっとの思いで顔をあげると、目の前にある紙袋に目を止めた。
紫織が置いたものだ。
ゆっくりと手を伸ばし、紙袋を手に取り中を覗くと、小さな箱と一緒に、カードが入っている。
カードを取り出して開くと――。
なぜ、名前を呼ぶのか。
すると彼は重ねて「何か言いたいこととか、聞きたいことは?」と言う。
「なにもありません」
「紫織……」
溜まりかねたように紫織は立ち上がった。
「本当にすいませんでした。失礼します」
「いいから座って、まだ話は終わってない」
「もうやめてっ! お願いだから。これ以上私をみじめにしないでくださいっ!」
「紫織?」
「社長が言ったように、私は落ちぶれました。だけど今まで自分をみじめだと思ったことは一度もなかった。私はあなたにひどい事をしたかもしれないけど、でも、だからって、これ以上私を惨めにさせる権利は社長にだってないはずですっ!」
「――ちょ… ちょっと待っ」
バンッ
思い切りドアを閉めた紫織は、涙を拭うことも忘れてエレベーターに走って行った。
「……え?」
光琉の席は社長室と副社長室と繋がる部屋にある。
突然飛び出してきた紫織に驚いてパソコンから顔をあげた光琉は、驚いたまま紫織を視線で追ったが、紫織がエレベーターの中に消えると、今度は閉じられたままの社長室の扉をパチパチと瞬きをしながら見つめた。
「……あれ?」
社長室の中の会話は聞こえなかったので、なにがあったのかも想像もできなかった。
そして、社長室の中では。
宗一郎が額に手をあてたまま、ガックリとうな垂れていた。
茫然としたまま、しばらくそのままでいたが、深いため息をついて、やっとの思いで顔をあげると、目の前にある紙袋に目を止めた。
紫織が置いたものだ。
ゆっくりと手を伸ばし、紙袋を手に取り中を覗くと、小さな箱と一緒に、カードが入っている。
カードを取り出して開くと――。