クールな社長の不埒な娶とり宣言~夫婦の契りを交わしたい~
自信を失いめっきり弱くなったが、それでも時間の経過と共に少しずつ明るく元気になり、今はこうして落ち着いて話をすることもできる。
「お母さん、お父さんは元気?風邪ひいてない?」
『うん。大丈夫よ。紫織は元気?』
「うん、元気よ。ねぇお母さん、もし、お見合いの話しないでくれるんだったら、お盆にゆっくり帰ろうかな」
母はもちろん喜んだ。
『いらっしゃい!いらっしゃい! お見合いは、今夜のうちに断るわ』
そう言って、声を弾ませた。
電話を切った紫織は、潮時なのかもしれないと思った。
新品のものに包まれたこの部屋は、素敵だ。日当たりも良くてセキュリティもしっかりしていて、家具もなにもかも綺麗で、もちろんなんの不満もない。
まるで『SSg』のようだと思う。
どんなに素敵でも。
――いまの私には、似合わない。