クールな社長の不埒な娶とり宣言~夫婦の契りを交わしたい~
あとは時期の問題だけ。
どんなにすぐに辞めたくても、手掛けている仕事を放り出すわけにはいかない。社会人として勤めは果たさなければ。
この都会でひとり、生きる意味。
散々考えたけれど、答えは出なかった。
ただ、自分らしくありたいと思った。
これ以上自分を嫌いにはなりたくない。
その為にもとにかくここを辞めて、それからのことは辞めたあとに考えようと決めた。
お盆に実家に帰れば、向こうで暮らそうと思うかもしれない。
そう思ったら心のまま、そうしようと。
夕べ、涙と一緒に心に疼く様々なものを全て流し出した。
体中の水分が無くなるほど泣きつくしたおかげで、心にはもうなんの迷いもない。からからに乾いてはいるが、なにもない分スッキリとしている。
前を向いて、次の未来に向かって進むだけ。
「~ららら♪」
時々歌ったりしながら三十分ほどした頃。
「あれ? どうした紫織」
室井が、帰ってきた。