クールな社長の不埒な娶とり宣言～夫婦の契りを交わしたい～

それは今から十年前のこと。

とある路地裏のカフェに、ふたりの女性がいた。

向かって右側の女性は和装、涼し気に髪を結いあげて、夏らしい白地の着物を着ている。

反対側の女性はカールした長い髪を下ろし、華やかなワンピース。

年の頃は四十代だろうか。
外見は対照的だが、どちらも甲乙つけがたいほどの美しい。

一体どんな関係なのだろう？
グラスを拭いていた店のマスターは、そんなことを思いながら二人の横顔をちらりと見た。

友人にしては表情が硬い。
取り巻く空気はどことなく張りつめている。