クールな社長の不埒な娶とり宣言~夫婦の契りを交わしたい~
「彼女は子供を産みたいって言って。でも、籍を入れることだけは、お母さんは許せなかった。それでもその代わりに、その子が成人するまでの養育費は責任を持つ約束をしたの」
そこまで聞いても、母はいったい何を言っているのかと。紫織には理解できなかった。
「だから、大学を卒業したあなたがあの子と結婚したいと言った時、名前を聞いて本当に驚いた。鏡原なんて、そうよくある名字じゃないから気づいたけど。だから必死に反対したのよ」
紫織は息をのんだ。
多分どこかを聞き違っているに違いない。
つい一昨日まで彼と抱き合っていたのだ。キスをして愛を囁き合って、睦み合い。
―ーそれなのに?
そんなはずがあるはずはない。
だから、ゆっくりと聞き返した。
「宗一郎と、私が、きょうだい? 違うわよね?」
「あの時には、そんなこととても言えなかった。ふたりが引き寄せ合ったのは血のせいなのかしらと思ったわ」
――宗一郎と私が兄妹? そんな……。
「違うんです! それは」
その声に紫織と紫織の母は振り返った。
「あ、あなたは」