クールな社長の不埒な娶とり宣言~夫婦の契りを交わしたい~
「おはよう藤村さん」
振り返ると彼、もとい鏡原社長がいて、イタズラっぽい笑みを浮かべて紫織を見下ろす。
職場では当分の間、ふたりが付き合っていることは秘密にしようということになっている。本当は付き合っているどころか一緒に住んでいるのだけれどと思うと背徳感にドキドキと胸が高鳴った。
「手を出して」
クスッと笑って紫織が手を出すと、鏡原社長は「はい。プレゼント」と言って、小さな紙袋を置いた。
見れば中にはキャンディが見える包みと、赤いリボンがついた小さい箱、
そしてカードが入っている。
――いつの間にこんなものを買ったのかしら。
そう思いながら、カードを手に取ると
『六時半に裏道で待っていてくれる? 宗一郎』
そう書いてあった。
クスッと笑いながら上目づかいに彼を見て、紫織は小さく頷いた。