クールな社長の不埒な娶とり宣言~夫婦の契りを交わしたい~
それでも御曹司キラーに引っかかったという反省もあるので、実際のところはそこまで怒っているわけじゃない。
でも、これで噂好きの陽子さんも少しは反省するだろう。反省できなければ本当に首を切られると思うので、是非反省してほしい。
そう思いながら、光琉はミルクティのボタンを押した。そしてもうひとつ大切な恋人のためのブラックコーヒーも忘れない。
――紫織さん、幸せそうだったなぁ。
光琉は知っている。社長が彼女と一緒に暮らし始めたことも、来年早々結婚することも。
自分と荻野はまだ始まったばかりだから結婚はまだピンこないけれども、彼には両親に会ってほしいと言われた。
『元キャバ嬢ってわかったら反対されちゃう?』
『するわけないさ、だってうちの実家『スナック』だし』
『スナック?』
『そう、『スナック さっちゃん』 あ、ちなみに父親がサツキでさっちゃんね。母親はミチコ。料理担当が親父、おふくろが飲み担当。ふたりでやってるんだよ』
――なんだか楽しそう。
結婚なんて言われたらどうしよう?
クスクスと笑いながら、光琉は足取りも軽くエレベーターに乗った。