クールな社長の不埒な娶とり宣言~夫婦の契りを交わしたい~

 その昔、同じ紙袋に入ったプレゼントをもらったことがあった。

「開けていい?」

 プレゼントは昔、一度目のプロポーズをした時に渡したシルバーのリングと同じブランドのものだ。

「宗一郎、これって……」

「特注で七粒のダイヤをつけてもらったんだけど、店で頼むとき、子供みたいにやたら照れちゃって。自分でも呆れたよ」

「ありがとう、宗一郎」

 ――覚えていてくれたんだね、あの約束。
七年前にもらった指輪と同じデザインだわ。

「幸せになろうな、紫織」
「うん」

 指輪をはめてもらって、キスをした。
 長い、長いキスを。

 視界の隅で、テンポドロップの結晶が、キラキラと輝いていた。
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