クールな社長の不埒な娶とり宣言~夫婦の契りを交わしたい~
さり気なさを装いつつ、マスターはそのまま観察を続けた。
着物を着た女性がバッグから何かを取り出す。
見ればそれは茶封筒で、彼女は指先で押すようにしてワンピースの女性の前にスッと差し出した。
ワンピースの女性は躊躇する様子も見せずに封筒を受け取る。
なにか会話を交わしているが、内容まではカウンターの内側までは届かない。
マスターはそれが少し残念だと思った。
だが、たとえ聞こえたとしても、マスターには何もわからないだろう。
そしてわからないまま、更に興味を掻き立てられたに違いない。
彼女たちはこう言っていたのである。
『お互いこの秘密は、墓場まで持っていきましょう』