クールな社長の不埒な娶とり宣言~夫婦の契りを交わしたい~

 できることなら、このままUターンして帰りたい。

「大丈夫だ。取って食われたりはしないから」
 クスクスと笑って余裕を見せる室井の隣に立ち、紫織は不安の限りを含めた深いため息をついた。

「――はぁ」

 エレベーターの中からは、社内の様子がよく見えた。

 吹き抜けなのでロビーからも少しは見えたが、二階はオープンスペースが広がっている。点在する椅子とテーブルは、それぞれが違う形をしていた。
 なにもかもがかっこよくて、そこで談笑している社員たちも型通りのスーツを着ているわけでもなくて、まるで雑誌をみているような気持ちになる。

 三階四階はメインの仕事場のようだ。
 二階と同じようにお洒落な空間で、ほとんどの人がパソコンに向かっている。

 紫織が気になったのはそのスタイリッシュな雰囲気だけではない。

 彼らはどうみても若かった。
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