クールな社長の不埒な娶とり宣言~夫婦の契りを交わしたい~
 これでも飲みに行けばまだまだナンパもされるし、『花マル商事』では出入りの業者には美人だね~紫織ちゃん! なんて声も掛けられたのだ。

 だいたい、え?
 なんですって?!
 俺が社長だから来たのか? はっ?!

 ショックが怒りに変わり、震える指先は入力を間違えたり変換を間違えたり、打っては消しを繰り返し、最後は叩きつけるようにして送信ボタンをクリックした。

『あなたが社長だなんて、全然知らなかった。
 随分立派になったのね。   藤村』

 仮にも相手は雇い主の社長。
 自分ももう少しで三十歳になる、いい大人女子だ。
 どんなに悔しくても、馬鹿にしないで!とは送れない。

 血が出そうなほど唇を噛んで画面を睨んでいると、ポンとまた軽い音が鳴った。

『で、どうするんだ? 本気でここで働くつもりか?
不動産屋と約束した手前、俺からはこれ以上は言えない。
自分から上手い理由つけて辞めてくれると助かる。  鏡原』

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