クールな社長の不埒な娶とり宣言~夫婦の契りを交わしたい~
 彼は、あの日の別れをバネにして頑張ったのだろうか?

 そう思う事すら傲慢だと言われるかもしれないが、野心などなかったはずの彼が、起業までして成功したのだ。

 あの素敵なビルで、大勢の社員を抱えて社長室に入った時、彼はどう思ったのだろう。


 でも、もし自分が宗一郎の立場だったら?

 あそこまで酷いことが言えた?

 『SSg』に就職することは、できれば辞退してほしいというのはわかる。
 でも、落ちぶれたもんだな、なんて酷いことまで言うのはなぜ?

 お金や権力で人は変わる。
 それは箱入り娘から、ただの世間知らずになった自分が、この目で見て肌で経験してきたことだ。

 ――でも。私ならあんな酷いことは絶対に言わない。絶対に。

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